実験映画を観る会 VOL-6
宮崎淳作品特集上映
日時:2023年11月26日 日曜日 15時から上映
場所:小金井市中町天神前集会所
〒184-0012 東京都小金井市中町1丁目7-7
https://www.mapion.co.jp/phonebook/M13007/13210/21331137107/
武蔵小金井駅南口から徒歩約14分
参加は予約制です。予約フォームにご記入ください。
https://forms.gle/P26gwELG53u1QEJEA
上映作品の詳細なども研究会Facebook twitter にアップ予定
参加資料代千円(当日現金でお支払い下さい)
スケジュール
14時45分開場
15時 〜 17時 上映 解説
17時 〜 17時15分 休憩
17 時15分 〜 17時45分 トーク 宮崎淳・石川亮 & 質疑応答
実験映画を観る会は、フィルムで制作された実験映画をフィルムで上映することをコンセプトに、これまで5回行ってきた。第6回目は、映像作家宮崎淳作品の特集上映。16mmフィルムでの上映と作家による解説、石川亮とのトーク&質疑応答が予定されている。
宮崎淳作品解説
106分 1時間46分
上映作品(上映順)
■『降水確率』1994年/16mm/カラー/10分/サイレント
この時期数年にわたって、多重露光のテクニックを使って作品を作り続けていた。大雑把なテーマと構成だけを決めて、そこに当てはまる被写体(あるいは光景)に出会いそうな場所をウロウロと歩く。うまく行く時もあれば、空振りの時もある。いずれにせよ、こうした撮影スタイルは天気に大きく左右される。そのこと自体をテーマとして、『降水確率』と名付けた作品である。
■『RAPID FIRE』1996年/16mm/カラー/11分(別音源によるサウンド上映)
出演:カリノ 音楽:足立ハルキ、古谷弘毅
都市を丸ごと映像化する!と言う無謀な試みによって作られたジェットコースター・ムービー。映像の洪水が、見る者の視覚に挑みかかる。この作品も多重露光のテクニックを使って作られているが、この場合はほとんどがアドリブで、まるでフリージャズの気まぐれなセッションのようだった。と言ったらミュージシャンが怒るだろうか。
■『FLIP LIGHT CRUISER』1998年/16mm/白黒&カラー/11分/サウンド
出演:カリノ 音楽:足立ハルキ、古谷弘毅
夜の街を進む、スチルカメラのモータードライブで捉えた白黒の視点。都市を写す、現代のフリップ・ブック(パラパラアニメ)。制作手法は、まず白黒で撮影した写真をサービス版でプリントし、カラーの16mmフィルムで一コマずつ再撮影。さらに多重露光で実際の風景を重ねて撮影した。そのため、この作品は白黒とカラーのハイブリッド映像になっている。
■『BORDER LAND』1999年/16mm/カラー/15分/サウンド
音楽:足立ハルキ、古谷弘毅、イリヤ・ラミエル
これは一万年の寿命を持った宇宙人の視点だろうか。あるいは、やがて滅びるかも知れぬ文明へのレクイエムだろうか。足立ハルキによる重厚なサウンドトラックが、SF映画をも思わせる壮大なクライマックスへと見る者を誘う。この作品は一コマずつ長時間露光(バルブ撮影)で撮影している。現在のデジタルカメラは自動で撮影できるが、この頃のカメラは一コマ一コマシャッターを押さなければならなかった。それは一種の「苦行」に近く、何かを悟ったような気分になったものだ。
■『TIME SCAPE』2001年/16mm/カラー/16分/サウンド
音楽:Four Color リレコ:佐々木雅之
誰もいない真夜中でさえ、風が吹き、雲が流れる。カメラは息を潜めて、それを見つめる。まるで地球の自転さえ、その身に感じ取ろうとするかのように。この作品は『BORDER LAND』同様、長時間露光で撮影している。ただし『BORDER LAND』がSF的世界観を狙っていたのに対して、この作品では時間の経過そのものを表現しようと試みた。
■『FRONTIER(フロンティア)』2003年/白黒/23分/サウンド
音楽:Four Color リレコ:佐々木雅之
2004年、第57回カンヌ国際映画祭 監督週間“若い視点賞”受賞作品
白黒の映像で、ただ淡々と団地が映し出される。団地は世界中どこにでもある。これは国境を越えた我々団地世代への、言葉を超えたメッセージである。時折コマ撮りとスローモーション撮影が加わるだけで、あとはタネも仕掛けもない。かつて夢見た未来をとうに追い越してしまった今でさえ、団地はまだそこにある。だが、さすがにそろそろ再開発の時期を迎えているようだ。そしてそこが、また新たなフロンティアになっていくのだろう。
■『光の庭 〜BRILLIANT GARDEN 2004〜』2004年/16mm/カラー/20分/サウンド
淡々と、晴れた日の風景を映し出した作品。もはやコマ撮りも影を潜めた。視覚だけに限って言えば、我々の世界は“光のさざ波”に過ぎない。硬質な直射日光の反射が、我々に世界の輪郭を与えてくれる。もしかして目的は撮影ではなく、“その場に立つこと”そのものなのかも知れない。撮影とは、それを正当化する手段なのだ。
● 宮崎 淳(みやざきじゅん)
1965年生まれ。映像作家。1988年、東京造形大学での卒業制作『Ring Android』がイメージフォーラム・フェスティバル(IFF)’88にて大賞を受賞。1990年に制作した『真空氷』IFF’91がエクスペンタル・イマジネーション賞を受賞。その後も作品の発表を続け、2004年『FRONTIER』が第57回カンヌ国際映画祭 監督週間にて「Regards Jeunes(若い視点)」賞を受賞。
1988年グラフィックデザイン事務所に入社し、印刷物のデザインと広告制作に携わる。1992年にフリーとなり、ミュージック・ビデオクリップの制作により映像業界に参入。その後CS放送局の依頼を受け、スポーツ番組やBBCドキュメンタリー番組、海外ドラマや映画専門チャンネルのプロモーション映像を演出/編集。近年は科学番組や企業VP、博物館等の大型映像の脚本/監督を手がけることが多い。
〈フィルモグラフィー〉
■『Ring Android』1988年/8mm/カラー/45分
■『真空氷』1990年/8mm/カラー/24分
■『発生触』1992年/16mm/カラー/8分
■『天演光』1993年/16mm/カラー/11分
■『降水確率〜Chance of rain〜』1994年/16mm/カラー/10分
■『PLASTIC TEAR』1995年/16mm/白黒/5分
■『RAPID FIRE』1996年/16mm/カラー/11分
■『FLIP LIGHT CRUISER』1998年/16mm/カラー/11分
■『BORDER LAND』1999年/16mm/カラー/15分
■『MOTIONPHOTOGRAFFITI』2000年/VTR/カラー/9分
■『TIME SCAPE』2001年/16mm/カラー/16分
■『A LITTLE PLANET ~小さな惑星~』2002年/白黒/7分
■『FRONTIER』2003年/白黒/23分
■『光の庭 〜BRILLIANT GARDEN 2004〜』2004年/16mm/カラー/20分
■『A RIVERSCAPE』2018年/デジタル/白黒/93分
●石川亮 フィルムによる映像作品/インスタレーション作品などを制作。 8ミリフィルム作品上映企画「! 8 – exclamation 8」や、自家現像ワークショップを企画運営している。 映像作家集団Spice films主宰。
主催:
日本映像学会 アナログメディア研究会
https://www.facebook.com/analogmedia
https://twitter.com/analogmedia2022
8ミリフィルム小金井街道プロジェクト
http://shink-tank.cocolog-nifty.com/perforation/
https://twitter.com/8mmfkkp