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日本映像学会アニメーション研究会【8月27日】

日本映像学会アニメーション研究会 研究発表会のご案内

 東映アニメーション企画部シニアプロデューサーの野口光一氏による研究発表「アニメーション製作におけるプロデュース業務」を、Zoomを用いたオンライン形式で開催いたします。参加登録をしていただければ、どなたでも参加いただける会です。
 ご興味、ご関心がございましたら、是非ご参加くださいますようご案内申し上げます。

日本映像学会アニメーション研究会 代表:横田正夫

■開催概要

曜日:令和4(2022)年8月27日(土曜日)
時間:14:30~16:30
場所:Zoomを使ったオンライン研究会
参加費:無料

参加登録:参加をご希望される方は、8月25日(木曜日)までに下の参加登録フォームに必要事項をご記入ください。
https://forms.gle/1Tb5wtJzzsfZU5aC9
※登録後、ご記入いただいたメールアドレスに参加用URLをご案内いたします。ご案内のメールは野村 (nomura.worksgmail.com) よりお届けいたします。登録から数日経っても連絡がない場合は、お手数ですが野村までお問い合わせください。
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発表タイトル
「アニメーション製作におけるプロデュース業務」

発表者
 東映アニメーション 企画部 シニアプロデューサー  野口光一
 1989年リンクス(現IMAGICA Lab.)、1995年からBOSS FILM STUDIOS(米・ロサンゼルス)でリチャード・エドランドに師事し『スピーシーズ』(1995)、『エアフォース・ワン』(1997)のVFX制作を担当。その後、東映アニメーションのVFXスーパーバイザーとして『男たちの大和/YAMATO』(2005)、『カツベン!』(2019)、『大怪獣のあとしまつ』(2022)に参加。『楽園追放』(2014)、『正解するカド』(2017)、『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』(2020)、『怪獣デコード』 (2021)ではプロデューサーを務める。日本映像学会•日本アニメーション学会会員。博士(総合社会文化、2020)。

発表概要
 アニメーション製作におけるプロデュース業務を分類する。製作委員会方式による作品では複数人のプロデューサーがクレジットされるが、中心となるプロデューサーの業務を解説する。私が所属している東映アニメーションは、アニメーション制作会社でもあるが、そこでのプロデューサー業務に焦点を当てる。プロデューサーの業務は、企画立案、委員会調整、監督・脚本・キャラクターデザイナーの選出、シナリオ作成、制作スケジュールの確認、アフレコ、ダビング、本編集、宣伝活動、商品展開等がある。また、東映アニメーションにおけるアニメーション制作は、他社とは作り方が違うと言われている。1年(4クール)を通して1つの作品を作り続けることが他社との大きな違いであり、制作において音響監督を立てない特殊性もある。加えて、作画枚数の制限やシリーズディレクターを監督とクレジットしないことなどのルールがある。そこで、企画、制作、営業の視点でプロデューサー業務を分類する。

第52回映画文献資料研究会【8月6日】

映画文献資料研究会では、下記の要領で、第52回例会を開催いたします。
会員の皆様のご参加をお待ちしています。

映画文献資料研究会第52回例会
シンポジウム「『日本映像カルチャーセンター』に眠る映像コレクションの利活用研究」

概要
 映像文化が現代社会を大きく支える今日にあって、映像遺産の発掘、収集、保存、利用は映像の発展のみばかりでなく、社会の発展にとってもきわめて重要な意味をもつ。しかしわが国には、このうえなく貴重であるにもかかわらず、正当な評価がされないまま、埋もれてしまっている映像遺産が少なからずある。「日本映像カルチャーセンター」(1972年設立)が所蔵する映像作品コレクションは、その代表格のひとつである。2016年度から2018年度にかけて実施してきた科研費研究では、この一大コレクションに再び光をあて、その意義をあきらかにしようとした。この成果を引き継ぐかたちで2020年度からあらたに開始した科研費研究が「『日本映像カルチャーセンター』に眠る映像コレクションの利活用研究」である。今回の研究ではさらに次の段階へと歩を進めた。すなわち、前回のカタロギング完成を受けての所蔵作品のデータベース化と、日本語添付の最適なスタイルの探究である。これらの実現あるいは検証作業の眼目は、このコレクションの利活用を積極的に推進するとともに、これら作品群の存在意義について広く再認識を促すことにあった。
 今回のシンポジウムでは、コレクションに含まれる具体的な作品事例をとりあげながら、3年間にわたるこうした研究調査の結果を報告する。

日時:2022年8月6日(土)13時30~17時30分
(1)基調報告:奥村賢(明星大学)
(2)参考上映:『ビム、小さなロバ』Bim, le petit âne(アルベール・ラモリス監督 1951年/フランス/51分 )
『沈黙の村』The Silent Village(ハンフリー・ジェニングス監督 1943年/イギリス/35分)
(3)パネルディスカッション
パネリスト:中山信子(早稲田大学演劇博物館招聘研究員)
      堤龍一郎(相模原女子大学)
      入江良郎(国立映画アーカイブ)
全体進行:西村安弘(東京工芸大学)

会場 東京工芸大学芸術学部2号館マルチメディア講義室(2号館B2)
主催:日本映像学会映画文献資料研究会/明星大学デザイン学部奥村研究室
事前申込制:先着50名 ※入場無料
申込先:西村安弘(映画文献資料研究会代表)
nishimurimg.t-kougei.ac.jp

※本企画は、2020年度 科研費基盤研究(C)の助成を受けています。
問い合わせ先:明星大学デザイン学部奥村研究室
masaru.okumuradesign.meisei-u.ac.jp

「ラリー・ガットハイム作品上映+西川智也氏によるトーク」【7月22日】

アメリカの実験映画のキーマン、ラリー・ガットハイムの初期3作品を日本初公開します。
ガットハイムの初期作品はアメリカの実験映画を語る上で重要な作品でありながら、そのほとんどは日本で紹介されていません。構造映画の影響を受けながら、風景と季節、カメラと被写体の相対的な関係を題材とした3作品を上映します。
上映後に西川智也氏による「Larry Gottheimとその作品」のレクチャーがあります。

【上映予定作品】
※上映作品は変更される可能性があります

■《Thought》(1970)
16mm/カラー/サイレント/7分
ガットハイムが作品全体を一つのカットで構成した最後の作品。それまでの作品は撮影技法や構図、作品の構造などのアイデアから制作していたが、この作品は作品の意味を意識して制作された。

■《Doorway》(1970)
16mm/白黒/サイレント/7.5分
ガットハイムの妻の陶器工房にある広いドアの片側から反対側に、ゆっくりとパンニングして撮影した作品。

■《Horizons》(1971-73)
16mm/カラー/サイレント/77分 ※デジタル上映を予定
長編4作品によって構成される『Elective Affinities(親和力)』の「序曲」に位置される作品。作家の生活圏を一年を通して撮影し、比較的短いショットをグループとして季節ごとにまとめた作品。

ラリー・ガットハイム Larry Gottheim
イエール大学で比較文学の博士号を習得した後、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校(ビンガムトン大学)英語学部で教鞭をとるかたわら、1960 年代後半から映像作品を作り始める。その後、実験映像作家のケン・ジェイコブズとともに、アメリカ初となる実験映画に特化した映画学部をビンガムトン大学に設立した。1960~70 年代に作られた初期の16 ミリ作品は、ニューヨーク州北部のランドスケープや季節を題材としたものが目立ち、作品を一つのカットで構成する作品や、長回しを使った作品が多い。ガットハイムの作品はニューヨーク近代美術館(MoMA)やホイットニー美術館などのほか、ベルリン国際映画祭やニューヨーク映画祭など、数多くの映画祭やその他の上映施設で紹介されている。
https://film-makerscoop.com/filmmakers/larry-gottheim

講師:西川智也
映像作家/キュレーター。2003 年より映像作品を発表し、2007 年から映像キュレーターとして活動を始める。クアラルンプール実験映画音楽祭、アメリカ学生実験映画祭、トランジェント・ヴィジョンズ映像祭の設立メンバー。現在、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校映画学部の学部長を務める。
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ラリー・ガットハイム作品上映+西川智也氏によるトーク

●日時:2022年7月22日(金)
上映開始 19:00/開場 18:30

●会場:小金井 宮地楽器ホール 地下練習室2•3
(〒184-0004 東京都小金井市本町6-14-45)
https://koganei-civic-center.jp/map/

●映像学会会員資料代:1,000円

主催:アナログメディア研究会
https://www.facebook.com/analogmedia
協力:ミストラルジャパン
申込・問合せ:analogmediazoom[at]gmail.com(アナログメディア研究会)
※[at]を@に変えてください。

映像アーカイブ研究会第3回研究会のお知らせ【7月22日】

第3回映像アーカイブ研究会

日本映像学会第3回映像アーカイブ研究会では、筑波大学教授であられる辻泰明氏を講師としてお招きし、2020 年に出版された『映像アーカイブ論——記録と記憶が照射する未来——』について、また、NHK 映像アーカイブの設立までの経緯やその後の状況に焦点を当てながら、テレビとアーカイブの関係についてお話しいただきながら、映像をアーカイブするとはどういった営みなのかを考えます。

タイトル:「日本におけるテレビ番組アーカイブの特性と今後の課題 」

辻泰明氏について
筑波大学教授。博士(情報学)。日本放送協会において、ドラマ部、ナイトジャーナル部、 スペシャル番組部、教育番組部などで番組制作に従事。その後、編成局にて視聴者層拡大 プロジェクトおよびモバイルコンテンツ開発、オンデマンド業務室にてインターネット配信業務を担当。著書に『映像メディア論――映画からテレビへ、そして、インターネットへ』 (2016)、『昭和期放送メディア論――女性向け教養番組における「花」の系譜』(2018)、『イ ンターネット動画メディア論――映像コミュニケーション革命の現状分析』(2019)。

日時:2022年7月22日 [金] 13:30-15:30

会場:オンライン(Zoom)

参加方法フライヤーにあります QR コード、または https://forms.gle/qPciYSjqJTWgBQDV9 より、予約フォームにご登録ください。

問合せ先:wadamarciano.mitsuyo.6wkyoto-u.ac.jp (代表 ミツヨ・ワダ・マルシアーノ)

主催:日本映像学会映像アーカイブ研究会  
共催:科研基盤研究 (B) デジタル映像アーカイブの未来研究

アジア映画研究会(第3期第12回)公開イベントのお知らせ【6月27日-7月2日】

福岡市総合図書館所蔵作品アジア映画セレクション Dedicated to the late Tadao Sato

◎会期:2022年6月27日(月)~7月2日(土)
◎会場:アテネ・フランセ文化センター(御茶ノ水・水道橋)
◎料金:一般1,200円、学生/シニア1,000円、アテネ・フランセ文化センター会員800円、3回券(一般/学生/シニア/会員共通)2,400円
※「日本映像学会会員」または「アジア映画研究会会員」は当日受付にて申し出てください。

【開催趣旨】
アジア映画研究会は本年度の公開イベントとして、アテネ・フランセ文化センターと共催で「福岡市総合図書館所蔵作品アジア映画セレクション Dedicated to the late Tadao Sato」を開催します。
福岡市総合図書館はFIAF(国際フィルム・アーカイブ連盟)の準会員として、アジアフォーカス・福岡国際映画祭(1991ー2020)で上映された優れたアジアの作品を中心に積極的に収集・保存してきました。このたび同館は収蔵作品を日本国内で広く活用するためにBlu-ray化に着手し、上映機会の拡大を図ることとなりました。 本特集では、今回Blu-ray化された7作品に加えて2作品を特別上映するとともに、当研究会のメンバーも加わって、日本におけるアジア映画普及の足跡と展望を語る2つのトークを実施します。
なお、本特集を、福岡市総合図書館アジア映画ライブラリーの設立と推進に尽力し、本年3月に逝去された佐藤忠男さん(日本映像学会創立メンバー)に捧げます。

主催:アテネ・フランセ文化センター
共催:日本映像学会アジア映画研究会
協力:福岡市総合図書館、コミュニティシネマセンター、シネマトリックス、株式会社スモールトーク

webページ:http://www.athenee.net/culturalcenter/program/as/asiancinema.html

【スケジュール】

6月27日(月)

18:00 オープニングトーク:「開催から40年―国際交流基金「南アジア映画祭」(1982年開催)がもたらしたもの」
四方田犬彦(映画誌・比較文学研究者)
清水展(文化人類学者)
モデレーター:石坂健治(日本映像学会アジア映画研究会代表)
19:30 特別上映『悪夢の香り』(95分)

6月28日(火)

15:10 『私はガンディーを殺していない』(104分)
17:20 『ヴィレッジ・オブ・ホープ』(72分)
19:30 『トゥルー・ヌーン』(83分)

6月29日(水)

13:50 『虹の兵士たち』(125分)
16:20 『夢追いかけて』(127分)
19:00 『ジャングル・スクール』(90分)

6月30日(木)

15:10 『トゥルー・ヌーン』(83分)
17:00 『ジャングル・スクール』(90分)
19:00 『ヴィレッジ・オブ・ホープ』(72分)

7月1日(金)

14:00 『土曜の午後に』(86分)
16:00 『虹の兵士たち』(125分)
18:30 『夢追いかけて』(127分)

7月2日(土)

12:00 『土曜の午後に』(86分)
14:00 クロージング・トーク:「アジアフォーカス・福岡国際映画祭から未来へ」
ショーレ・ゴルパリアン(映画プロデューサー)
山口吉則(アジアフォーカス・福岡映画祭元事務局次長)
モデレーター:石坂健治(日本映像学会アジア映画研究会代表)
15:30 特別上映『牛』(105分)

【作品解説】(text by 石坂健治)
●『悪夢の香り』※特別上映
Perfumed Nightmare

1977年/95分/16mm
監督・脚本:キドラット・タヒミック
出演:キドラット・タヒミック ジェジェット・ボードリィ マン・フェリィ

ジープニー(乗合バス)運転手がアメリカ人に雇われて車ごとパリに移動し、珍妙な労働に従事させられる。監督自ら主演して先進国の独善を揶揄する本作が1982年「南アジア映画祭」で上映されると衝撃が走り、四方田犬彦はゴダールとの比較論をただちに発表。清水展はタヒミックや先住民と暮らして30年後に文化人類学の著作を上梓した。詳しくはオープニングトークで!

●『私はガンディーを殺していない』
I Did Not Kill Gandhi

2005年/104分/35mm→Blu-ray
監督:ジャヌ・バルア
脚本:ジャヌ・バルア サンジャイ・チョウハーン
撮影:ラージャー・チャクラヴァルティー
出演:アヌパム P.ケール ウルラミー・マートーンドカル プラヴィーン・ダバス

退職した大学教授に認知症が兆し、自分はガンディー殺害犯だという妄想に取り憑かれていく…。アジアフォーカス映画祭の初代ディレクター・佐藤忠男はアッサム語映画界の名匠バルアの作品を愛し、『河は流れる』(99)『虹に乗って』(02)に続いて任期最後の2006年に本作を福岡に紹介した。福岡観客賞(コダックVISIONアワード)受賞作。

●『トゥルー・ヌーン』
True Noon

2009年/83分/35mm→Blu-ray
監督:ノシール・サイードフ
脚本:サファール・ハクドドフ
撮影:ゲオルギー・ザラエフ
出演:ユーリー・ナザーロフ ナシパ・シャリポワ ナスリディン・ヌリディノフ

ソ連邦崩壊後にタジキスタン共和国で初めて製作された長編劇映画。国境沿いの二つの村はソ連時代から人々が自由に行き来していたが、ある日突然軍隊が国境線を作り往来が妨げられてしまう。気象観測所に勤めるロシア人キリルは国境越えの一計を案じるが…。映像美に圧倒されるサイードフ監督のデビュー作。福岡観客賞受賞作。

●『虹の兵士たち』
Laskar Pelangi

2008年/125分/35mm→Blu-ray
監督:リリ・リザ
原作:アンドレア・ヒラタ
脚本:サルマン・アリスト リリ・リザ
撮影:ヤディ・スガンディ
出演:チュッ・ミニ ズルファニ フェルディアン

アンドレア・ヒラタのベストセラー小説(邦訳「虹の少年たち」)を21世紀のインドネシア映画を牽引するリリ・リザが映画化した大ヒット作。スズ鉱山で知られるブリトン島のイスラム小学校を舞台 に、新任女性教師と10人の貧しい児童のふれあいと成長の物語。リザはアジアフォーカス映画祭で最も愛された監督の一人で、多くの作品が上映されている。

●『夢追いかけて』
Sang Pemimpi

2009年/127分/35mm→Blu-ray
監督:リリ・リザ
原作:アンドレア・ヒラタ
脚本:サルマン・アリスト ミラ・レスマナ リリ・リザ
撮影:グンナール・ニムプノ
出演:レンディ・アフマド アズウィル・フィトゥリアント フィクリ・セプティアワン

『虹の兵士たち』の大ヒットを受けて直ちに制作された続編。高校生になった少年たちは新たな友人とも出会い、それぞれの進路を見つめて勉学に励むが、スズ相場の暴落で家庭が困窮し、暗雲が立ち込める。悩みながらも成長していく若者の姿に社会的不平等や不公正な富の分配といったテーマも加わった辛口の青春映画。

●『ジャングル・スクール』
Sokola Rimba

2013年/90分/DCP→Blu-ray
監督:リリ・リザ
原作:ブテット・マヌルン
脚本:リリ・リザ
撮影:グンナール・ニムプノ
出演:プリシア・ナスティオン ニュンサン・ブンゴ

スマトラ南部の熱帯林で活動する環境NGOの女性職員ブテットは「森の民」の子どもたちに読み書きや算数を教えようとするが、現地の大人たちとの軋轢、彼女の活動に理解のない上司、違法な森林伐採を目論む業者たち、といった試練が次々と降りかかる。実在の人物ブテット・マヌルンに取材し、文明とは何かを問うリザの福岡観客賞受賞作。

●『ヴィレッジ・オブ・ホープ』
Village of Hope

2013年/72分/DCP→Blu-ray
監督:ブンソン・ナークプー
脚本:ブンソン・ナークプー
撮影:ティーラワット・ルジンタム
出演:グライソーン・ナークプー トゥープ・ナークプー シリモンコン・ワイプット

若い兵士ソーンは半年後の除隊を控えて故郷の村に一時帰省するが、父・母・兄とも所在不明の離散状態で孤独に苛まれる。農業を営む親戚たちも彼を疎んじるが不作で生活は厳しい。「ロマンティックな故郷ではないので白黒で撮影しました」とブンソン監督は語る。 大島渚『愛と希望の街』にも似てタイトルと内容が皮肉なねじれを示している。

●『土曜の午後に』
Saturday Afternoon

2019年/86分/DCP→Blu-ray
監督:モストファ・サルワル・ファルキ
脚本:モストファ・サルワル・ファルキ
撮影:アジズ・ジャンバキエフ
出演:ジャヒド・ハサン ポロムブロト・チャテルジー ヌストラ・イムロズ・ティシャ

ラマダン期間中、首都ダッカのレストランがイスラム過激派に占拠される。警察に包囲された彼らは人質のうち異教徒から殺していく…。22人が殺害された実際のテロ事件をもとに全篇ワンカットで撮り上げた意欲作。世界が注目するファルキ監督の「アイデンティティー三部作」は本作と次作『ノー・ランズ・マン』(大阪アジアン映画祭2022出品)まで進行中。

●『牛』※特別上映
The Cow

1969年/105分/35mm→DCP
監督・脚本:ダリウシュ・メールジュイ
撮影:フェレイデュン・ゴワンルー
出演:エザットラー・エンテザミ マヒン・シャハビ アリ・ナシリアン

イラン映画に革新をもたらしたメールジュイの代表作。可愛がっていた牛を失ったショックで自分を牛と思い込んでしまう男の錯乱と妄執、それを取り巻く農村の閉鎖性を描く。東京フィルメックス 2019でデジタル修復版が上映され、その際にアミール・ナデリ監督が「『牛』はイラン映画史上の『羅生門』である」とコメントした。

関西支部第94回研究会【6月25日】

日本映像学会関西支部第94回研究会(6月25日)のお知らせ

下記の通り日本映像学会関西支部第94回研究会を関西学院大学上ヶ原キャンパスにて開催いたします。多くの方の参加をお待ちしています。

日時:2022年6月25日(土)午後2時より4時頃まで。

研究発表1:前近代の放浪者—1970年代の瞽女映画
発表者:京都大学大学院 人間・環境学研究科博士前期課程 内山翔太会員
要旨:
 本発表は、盲目の女性の旅芸人である瞽女を描いた、映画『津軽じょんがら節』(斎藤耕一監督、1973年)と『はなれ瞽女おりん』(篠田正浩監督、1977年)について論じるものである。瞽女の活動は近世中期から明治にかけて全盛を迎え、そののち衰退したが、1970年代には再び、消滅の危機にある瞽女に注目が集まっていた。本発表では、上記2つの作品をこうした「瞽女ブーム」のなかに位置づける。その上で、まず、作品公開時の製作者や批評家、観客の言説を調査することで、当時、瞽女のなかに日本の起源が見出だされていたことを指摘する。作品に関する当時の言説は、かつての日本の文化が失われつつあることを悲観するとともに、消滅の危機にあった瞽女を消えていく日本文化と重ね合わせていた。過去に存在した文化を懐かしみ、その喪失を嘆く態度は、とりわけ『はなれ瞽女おりん』において、作品のメロドラマ性となって表れている。次に、本発表の後半では、なぜ日本の起源が瞽女に求められていたのかについて考察する。
 1950年代から1970年代の日本では、高度成長にともなって都市が急速に拡大し、農村から都市部へと大量の人口が流入していた。流入した人々の多くは都市においても安定した地位になく、故郷を失ってさまよう、いわば放浪する人々であった。ここでは、特に『津軽じょんがら節』のテクストを分析することによって、こうした高度成長期の放浪する人々こそ、瞽女に日本の起源を求める主体であったことを指摘する。以上を踏まえ、本発表の最後では、1970年代に製作されたこれらの作品において、瞽女が日本の起源として見出だされた主な理由は、高度成長期の放浪する人々が、前近代のやはり放浪する人々であった瞽女に、自らを重ね合わせていたからだと結論する。

研究発表2:アニメーションの疑似知覚(ver.2)―パペットとCGIからみた物質性による意識構成の違い
発表者:関西学院大学文学研究科博士課程後期課程 洪愷均(ハン・カイチュン)会員
要旨:
 パペットアニメーションとCGアニメーションの美学的な相違を探求する際に、多くの人々は主に実体の有無に注目し、それによる実体性と認識性の相違を中心に説明する傾向が強かった。例えば、ロシャ(Rocha, E. 2012)も制作時にメディアに残された指紋や動きの不自然さなどのアニメーターの行為と結びついた物理的な痕跡の働きを焦点とし、それによる「触感(sense of touch)」と「触覚性(tactility)」からパペットアニメーションのほうがより強い体感(embodied experience)をもたらせると主張した。また、アニメーターのアルベルト(Alberto, C. 2019)はパペットアニメーションの魅力を「アニメーションとフィギュアの間で行われるライブプレイによる、数時間かけて施された様々なディテールだ」と述べた。
 しかし、日進月步の機械的進化につれ、現在のCGI技術において、実体性はおろか物体表面の紋や毛などの細かいディテールもすべでリアルに再現できるようになっている。また、パペットにディテールが見えると言っても、決して誰もがその触感に気づいたり、そのことを反省しようとしたりはしない。さらに、パペットとCGIの双方に共通してコマ数を減らすことにより、その動きは不自然さという基準で統一される。したがって、互いの美学的な比較にはもはやより一層基盤的かつ概念的な新しい基準点が必要とされる。それを見極めるために、本発表ではサルトルの唱えた「イマジネール」及びキム・ジュニアンの「観賞装置」という主張を中心において、パペットとCGIのそれぞれの物質性について存在論的な角度から着目し、観賞時における観客の異なる意識構成とその原因について再考察を行う。

会場:関西学院大学上ケ原キャンパス F号館203教室
交通アクセス:https://www.kwansei.ac.jp/access/uegahara
キャンパスマップ:https://www.kwansei.ac.jp/cms/kwansei/pdf/about/campus/nuc2022.pdf
※当日、F号館1階は別学会の研究会が開かれております。日本映像学会関西支部研究発表会場はF号館2階になりますのでご注意ください。

日本映像学会関西支部事務局
〒585-8555大阪府南河内郡河南町東山469
大阪芸術大学映像学科内(大橋)
Tel: 0721-93-3781(内線3327)
email:eizouosaka-geidai.ac.jp

2022年度 研究会活動費助成の公募について(応募締切:2022年6月27日12:00)

日本映像学会 会員各位

 平素より日本映像学会にご参加およびご協力いただきありがとうございます。映像にかんする研究・活動の活性化を図るために、研究会が企画・運営する本年度の研究活動に対して研究会活動費助成の公募をおこないます。有意義と期待される研究活動や、継続的な研究活動を続けている研究会、および新規発足の研究会による研究活動の奨励を目的とします。「2022年度研究会活動費助成申請書」に必要事項を記入の上、応募期限までにご提出ください。
応募された「研究会活動費助成申請書」については審査委員会による研究・活動計画内容、実施の実現性などについて厳正な審査のうえ、助成対象となる研究・活動計画を決定します。

〆切は2022年【6月27日(月)12:00まで(厳守)】となっております。
みなさまのご応募お待ちしております。

日本映像学会 研究企画委員会

詳細のご案内や本年度の申請フォーマットは、以下よりダウンロードしてご使用ください。*予算書、決算報告書も新書式になっています。
2022年度研究企画委員会による研究活動助成について」.pdf
2022年度研究会活動費助成申請書」.xlsx
日本映像学会 研究会活動費助成 予算書」.docx
[参考]「日本映像学会 研究会活動費助成 決算報告書」.docx *研究会活動費の運用についての報告書式

2022年度 春期新規研究会登録申請について(応募締切:2022年6月27日12:00)

日本映像学会 会員各位

平素より日本映像学会の活動にご参加・ご協力いただき、ありがとうございます。
日本映像学会では会員のみなさまに活発な学会活動をおこなっていただくため、2022年度の春期新規研究会を募集します。
従来の研究会にない枠組みでのご活動を検討されている方、映像学への新たな視点をお持ちの方、是非ご申請ください。

同時に「研究会活動費助成」の申請をご検討の方は、こちらをご覧ください。

〆切は2022年【6月27日(月)12:00まで(厳守)】となっております。
みなさまのご応募お待ちしております。

日本映像学会 研究企画委員会

詳細のご案内や申請フォーマットは、以下よりダウンロードしてご使用ください。
2022年度_春期新規研究会登録申請について.pdf
新規研究会登録申請書.xlsx

日本映像学会第48回大会1日目(6月4日)シンポジウム ウェビナー登録

日本映像学会会員各位

第48回大会(京都大学)の1日目(6月4日)シンポジウムのウェビナーの登録は、下記よりお願いいたします。
(日本映像学会会員も登録が必要・非会員も登録可能)
https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_VbilJD6fS9eaxxYPF7MWUQ

シンポジウム:カメラを持った女——ジェンダー、創造行為、労働
14:00 開会のご挨拶(木下千花大会実行委員長)
<Part 1>
14:05 講演「女たちの声、子どもたちのまなざし―『ここに生きる』(望月優子監督)の映した失業、貧困、労働」(鷲谷花会員)
休憩(14:45-15:00)
<Part 2>
15:00 座談会「言葉・身体・記憶——映像作家の実践」
登壇者:熊谷博子(映画監督)、山城知佳子(映像作家)、横浜聡子(映画監督)、斉藤綾子(日本映像学会会長)
司会:木下千花

みなさまのご参加をお待ちしております。

*付記:『ここに生きる』(望月優子監督)の配信リンクは5月27日までに公開予定です。
*日本映像学会第48回大会HP:https://jasias.jp/eizo2022/about
*日本映像学会Facebook:https://www.facebook.com/JASIAS1974

会報第194号を発行しました。

会報第194号(2022年5月15日)を発行しました。
以下のPDFよりお読みください。

JASIAS_NewsLetter194

PDFがウィンドウに表示されない(画面が真っ白や真っ黒等)ときは、
ウィンドウ右下端のサイズ調節をマウスで動かして調節してみてください。
ウィンドウの幅のサイズが会報の幅のサイズより大きいときなどに、
PDF表示画面が出ずに真っ白や真っ黒の画面になることがあります。
また、文字が一部しか表示されないときは、URL表示のそばにあるリロードボタンをクリックしてみてください。

会報への会員による投稿につきましては以下の投稿規定をお読みのうえ、末尾の連絡フォームによりご連絡ください。のちほど担当よりご連絡申し上げます。

日本映像学会 会報 投稿規定(2017年10月 理事会決定)

1.投稿資格

(1) 投稿の時点で正会員の資格を有していること。

(2) 投稿者本人が執筆者であること。共著の場合は、投稿者が筆頭執筆者であり、必ず他の共著者全員の承認を得た上で投稿しなければならない。

2.投稿内容

(1) 映像に関する研究を推進し、広く映像文化の向上に寄与するもの(「日本映像学会会則」第2章第4条にもとづく)。

(2) 未発表のもの。二重投稿は認めない。投稿者自身の既発表論文や口頭発表と関連がある場合には、そのことを必ず明記すること。

(3) 投稿者は、自らが著作権を有しない著作物や図版などを引用するに際しては、著作権法(第32 条第1項)が定める引用の条件に則って行なうものとし、必要な場合はその著作権所有者の許諾を得なければならない。

3.字数

(1) 字数は自由(1ページは2,400字程度・複数ページも可)

(2) 図版を添付する場合には、図版の大きさを文字数に換算し、全体の文字数に含める。

4.体裁

(1) 完成原稿であること。

(2) メール本文に、題名、執筆者名、住所、電話番号、Eメールアドレス、所属等を記すこと。なお、総務委員会が原稿を確認し、事務局からEメールで「原稿受付」の通知をする。

5.提出方法

(1) 電子データをメール添付で事務局に送信すること。

(2) メール本文にOSの種類とソフト名(Wordもしくはテキスト)を明記すること。

6.投稿先

E-mail: officejasias.jp

7.校正

著者校正は初校のみとし、以後は総務委員会が行なう。

8.著作権

会報に発表された研究報告等の著作権は日本映像学会に帰属する。他の著作に転載する場合には、事務的な手続きのため、事前に文書等で学会に連絡し、転載する際に、会報への掲載に関する基本的な書誌情報を明記すること。

9.締切

投稿は随時受け付ける。

10.その他

(1) 掲載の可否については、総務委員会が決定する(一部改稿を求めることもある)。また、「採否の通知」は事務局からEメールで送信する。

(2) 投稿原稿掲載部分はPDF電子版会報の内としてホームページ上で一般公開

以上