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関西支部第92回研究会【12月12日】及び関西支部総会

日本映像学会関西支部第92回研究会(12月12日)のお知らせ(追補)

以前に案内いたしました日本映像学会関西支部第92回研究会につきまして、リモート(Zoom)を併用することにいたしましたので、お知らせします。関西支部以外の方でもご興味のある方はどうぞご参加下さい。
リモートでの参加を希望する方は、12月11日(土)までに下記メールアドレスにお名前とご所属を記入したメールをお送りください。追ってZoom招待メールを返信いたします。
eizoukansaigmail.com
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日本映像学会関西支部第92回研究会(12月12日)及び関西支部総会のお知らせ

下記の通り日本映像学会関西支部第92回研究会を開催いたします。関西支部会員に限らず多くの方の参加をお待ちしています。

日時:2021年12月12日(日)午後2時より4時頃まで。
会場:大阪大学豊中キャンパス 文法経講義棟 文11教室

研究発表1:メタ歴史家としてのホリス・フランプトン——「無限のフィルム」をめぐって
発表者:京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程 堀内大暉会員
要旨:
 ホリス・フランプトン(1936-1984)は、アメリカの実験映画を代表する映像作家であり、写真家、デジタルアートの先駆者としても広く知られている。また理論家としての顔をあわせもつフランプトンは、メタ歴史家を自称し、その特異な歴史観のもとで理論的な論考を多数発表している。
 フランプトンをメタ歴史家として捉える上で特に重要となるのが、1971年に発表された論考For a Metahistory of Film: Commonplace Notes and Hypothesesにおける「無限のフィルム(infinite film)」という概念である。「無限のフィルム」とは、歴史という時間軸に沿って、世界が潜在的に生み出すことのできるあらゆるイメージを含んだフィルムの存在を仮定することを意味する。そしてフランプトンは、この概念を通じて、映画と写真、あるいは映画とフッテージ間の差異を取り除くような、ラディカルな議論を展開している。
本発表では、フランプトンの様々な論考とマーク・B・N・ハンセンらの先行研究を参照することで、「無限のフィルム」という極めて特殊な概念の生成過程を追いつつ、その理論的射程を検討することを目的とする。また同時に、この概念が当時のフランプトンの映画であるZorns Lemma(1970)やCritical Mass(1971)において、如何に作用するのかについて考察する。

研究発表2:映像としての女性たちの満洲記憶 –田中絹代『流転の王妃』(1960)を中心に–
発表者:大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程 李潤澤会員
要旨:
 本発表では、世界映画史でも画期的な存在である日本初の「女だけで作る」劇映画、田中絹代監督の『流転の王妃』(1960)を以下の三つのステップによって検討する。
 第一に、映画『流転の王妃』の戦後日本大衆文化における位置付けを再定義する。日本女性監督のパイオニアとして知られている田中絹代が『乳房よ永遠なれ』(1956)から四年ぶりに多難を克服して『流転の王妃』を監督した際に直面したさまざまな問題を、映画史的文脈、日本の女性運動の文脈、冷戦期の中日交流という文脈を横断しつつ考察する。
 第二に、自伝小説『流転の王妃』(1959)に記録された原作者愛新覚羅浩の「個人の記憶」が映画化された際のアダプテーション的特徴を映像テキストの分析によって抽出した上で、同時代に行われた戦争・植民地支配をめぐる歴史闘争との関係をふまえて、本作品における満洲記憶の表象の語りを分析する。
 第三に、本作品と40余年の後にテレビ朝日45周年記念ドラマとして作られた『流転の王妃 最後の皇弟』(2003)と映画『赤い月』(2004)とを比較し、女性を主人公として満洲の歴史を扱う劇映画の変容に光を当てる。

※感染防止の観点より湯茶の用意はいたしません。何卒ご理解ください。

・研究会終了後、同会場にて2021年度日本映像学会関西支部総会を行います。4時半頃開始予定。

〒560-8532 大阪府豊中市待兼山町1-5 大阪大学文学研究科
最寄駅:阪急電車宝塚線・石橋阪大前駅(特急・急行停車)下車 東へ徒歩約15分
大阪モノレール 柴原阪大前駅下車 徒歩約15分
https://www.osaka-u.ac.jp/ja/access/top

日本映像学会関西支部事務局
〒585-8555大阪府南河内郡河南町東山469
大阪芸術大学映像学科内(大橋)
Tel: 0721-93-3781(内線3327)
email:eizouosaka-geidai.ac.jp

映像アーカイブ研究会第2回研究会のお知らせ【1月22日】

(2022.01.18追記)
新型コロナウイルス感染症の影響から対面会場を取りやめ、オンライン(zoom)のみでの開催に変更いたしました。
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映像アーカイブ研究会第2回研究会のお知らせ

基調講演:阪神・淡路大震災から考えるテレビとアーカイブ
ゲスト講師:木戸崇之氏(朝日放送テレビ)
日時:2022年1月22日[土]13:00-15:00
会場: オンライン(Zoom)のみ+関西大学梅田キャンパス(大阪市北区鶴野町1-5)7階701教室

予約フォーム:https://forms.gle/ktoiK5vGdRjozicY7

広報資料:20220122flyer.pdf

アジア映画研究会(第3期 第9回)開催のお知らせ【12月7日】

アジア映画研究会会員/日本映像学会会員各位
《日本映像学会アジア映画研究会(第3期第9回)開催のお知らせ》

アジア映画研究会(第3期第9回/通算第42回)を下記のとおり開催します。
日時:2021年12月7日(火) 18:00~20:00
(Zoomによるオンライン開催/事前申込制)
申込:12月2日(木)締切
下記URLより所定のフォームにご記入の上、お申し込み下さい。
https://docs.google.com/forms/d/1XJqomhBiSD__xkO7wxBqos7baIEb0hMGIp4emK8Knr8/edit

<内容>
①発表(30分+討議)
山下宏洋(シアター・イメージフォーラム 劇場担当)
「『ジャッリカットゥ 牛の怒り』配給の顛末」
<発表要旨>
映画館がなぜインドのインディペンデント映画を直接配給するの? 個人映画や実験映画のイメージフォーラムがなぜ突然インド映画を?
『ジャッリカットゥ 牛の怒り』を配給していて何度か投げかけられた疑問です。その背景にはいくつか理由があったと思います。一つにはミニシアター系映画配給業の変化と、それを加速させているコロナ禍。もう一つの側面としては、いわゆる”アート映画”のジオグラフィーと形式の変容。ミニシアター劇場番組編成担当者として、アート映画上映者として、本作品配給という試みとその手応えについて、お話しできたらと思います。

②発表(30分+討議)
安宅直子(南インド映画研究者)
「タミル語映画とカースト」
<発表要旨>
 インド映画のはじまりから現在に至るまで、芸術映画でも娯楽映画でも、カーストは常に画面に表れ、言及されてきた。本発表では、カーストに対するアプローチに特殊性をもつ南インドのタミル語圏において、娯楽映画の中でカーストがどのように扱われているかを実例を示しながら概説する。

 発表の中で2018年のタミル語映画『僕の名はパリエルム・ペルマール』について言及する予定です。
ご興味をお持ちの方はDVDや配信で事前にご覧になることをお勧めいたします。
 DVD販売:https://www.happinetonline.com/ec/pro/disp/1/10863011
 DVDレンタル:https://tsutaya.tsite.jp/item/movie/PTA00013B4X8
 配信:https://www.im-o.net/
DVD販売とレンタルは上記以外のサイトでも取り扱いがあります。

[座長より]
以前、インド映画『ジャッリカットゥ 牛の怒り』ご鑑賞のお願いをしました折には、ご協力下さりありがとうございました。
イメージフォーラムという、映画配給&興行の現場からのお話は貴重だと思いますので、ぜひご参加下さい。
また、安宅直子さんお勧めの『僕の名はパリエルム・ペルマール』は、衝撃的な内容だけでなく、斬新な映画表現を使った点でも注目に値する作品です。
この機会にご覧いただき、当日の討議に参加していただければ幸いです。

皆様のご参加をお待ちしております。

12月座長:松岡 環

第50回映画文献資料研究会【11月27日】

第50回映画文献資料研究会

テーマ:「吉澤商店の国産映写機製造」
 明治の映画商社・吉澤商店による国産映写機製造の歩みを、現存する定価表などの資料の調査を通してたどります。海外の発明品によって幕を開けた我が国の映画史は、どのように次のステージへ進んだのか。吉澤商店が輸入した活動写真の正体や、最古の国産映写機についても考察します。
発表者:入江良郎会員(国立映画アーカイブ主任研究員)

日時:11月27日(土)15時~
会場:東京工芸大学中野キャンパス1号館1階映像学科ゼミ7室
参加費:無料(対面方式)
事前申込制:コロナ・ウィルス感染症対策として、参加を希望される方は、下記宛にお申し込みください。(人数制限はありませんので、メールでの返信はいたしません。)
nishimurimg.t-kougei.ac.jp
日本映像学会映画文献資料研究会
西村安弘

2021年度研究会継続届提出のお願い(2021年12月10日締切)

研究会代表者各位

平素より当学会において活発な研究活動をご推進いただき、心より感謝申しあげます。
活発な研究会活動を促進するためにも、研究企画委員会から以下のお願いを申しあげます。

(1)研究会の継続確認について
2019年10月5日の理事会にて、選挙のない年度に「研究会継続届」の提出をしていただくことで、継続確認をさせていただくことになりました。お手数をおかけして恐縮ですが、本年度が該当年度となります。【2021年12月10日】までに事務局へメールにて継続届をご提出いただくようお願い申しあげます。

(2)研究会の変更及び廃止について
学会ホームページ上に、「研究会変更届」「研究会廃止届」を掲載しています
( https://jasias.jp/wp-content/uploads/2022/05/sg_notification2021.xlsx )
研究会活動内容(代表者・構成員の変更も含)に変更が生じた場合は「研究会変更届」に、研究会活動を廃止する場合は「研究会廃止届」にご記入の上、速やかに事務局への届出をお願い申しあげます。

学会員のみなさまにとって、より有意義な形での学会運営を提供できるよう、ご理解とご協力のほどなにとぞよろしくお願い申し上げます。

日本映像学会 研究企画委員会
委員長 冨田美香

2021年度研究会活動費助成追加公募のお知らせ(応募締切:2021年11月25日12:00)

日本映像学会 会員各位

映像にかんする研究・活動の活性化を図るために、研究会が企画・運営する本年度の研究活動に対して研究会活動費助成の公募をおこないます。有意義と期待される研究活動や、継続的な研究活動を続けている研究会、および新規発足の研究会による研究活動の奨励を目的とします。「2021年度研究会活動費助成申請書」に必要事項を記入の上、応募期限までにご提出ください。
応募された「研究会活動費助成申請書」については審査委員会による研究・活動計画内容、実施の実現性などについて厳正な審査のうえ、助成対象となる研究・活動計画を決定します。
なお、たいへん恐縮ですが、なるべく多くの研究会への助成を行うことを目的とすることから、春の助成公募で採択された研究会は対象外となります。

〆切は2021年【11月25日(木)12:00まで(厳守)】となっております。
みなさまのご応募お待ちしております。

日本映像学会 研究企画委員会

詳細のご案内や申請フォーマットは、以下よりダウンロードしてご使用ください。
2021年度研究会活動費助成の追加公募について」.pdf
2021年度研究会活動費助成申請書」.xlsx
日本映像学会 研究会活動費助成 予算書」.docx
[参考]「日本映像学会 研究会活動費助成 決算報告書」.docx *研究会活動費の運用についての報告書式

2021年度 秋期新規研究会登録申請について(応募締切:2021年11月25日12:00)

日本映像学会 会員各位

平素より日本映像学会の活動にご参加・ご協力いただき、ありがとうございます。
日本映像学会では会員のみなさまに活発な学会活動をおこなっていただくため、2021年度秋の新規研究会を募集します。
従来の研究会にない枠組みでのご活動を検討されている方、映像学への新たな視点をお持ちの方、是非ご申請ください。

〆切は2021年【11月25日(木)12:00まで(厳守)】となっております。
みなさまのご応募お待ちしております。

日本映像学会 研究企画委員会

詳細のご案内や申請フォーマットは、以下よりダウンロードしてご使用ください。
2021年度秋期_新規研究会登録申請について.pdf
新規研究会登録申請書.xlsx

写真研究会 2021年 第7回研究発表会開催のお知らせ【11月7日】

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日本映像学会 写真研究会
2021年 第7回研究発表会開催のお知らせ
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日本映像学会会員各位

写真研究会の研究発表会を、新型コロナウイルス感染拡大防止のため下記のとおりオンラインに
て開催致します。皆様のご参加をお待ちしております。

日本映像学会写真研究会
代表 倉石 信乃

【日時】
2021年11月7日(日) 15:00開始 18:30終了予定(日本時間)*オンラインによる開催。

【参加方法】*事前予約制 会議システムzoom を利用して開催いたします。下記URL にあるフォームから事前にお申し込み下さい。いただいたメールアドレスにzoom のID とパスワードをお送りいたします。
登録期限は11月6日(土)12:00 までとさせていただきます。
申し込みURL
https://forms.gle/Lzaqv5QWLf56wQZs6

【発表者・発表内容・座談会】
発表1
「1920―30 年代の「寫眞工藝」における「プロセス」の研究―日本寫眞美術展覧会と『フォトタイムス』「寫眞工藝欄」をてがかりに―」
芦髙郁子(京都工芸繊維大学博士後期課程/京都市立芸術大学非常勤講師)

発表2
「肖像権、プライバシーと写真―撮られることの恐怖について」
高橋倫夫(早稲田大学文学研究科修士課程)

座談会
「展覧会『鷹野隆大 毎日写真1999-2021』(国立国際美術館)について」
ゲスト:鷹野隆大(写真家)
司会:中村史子(愛知県美術館)
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【研究発表・座談会の要旨】
発表1

「1920―30 年代の「寫眞工藝」における「プロセス」の研究―日本寫眞美術展覧会と『フォトタイムス』「寫眞工藝欄」をてがかりに―」
芦髙郁子(京都工芸繊維大学博士後期課程/京都市立芸術大学非常勤講師)

 1930年4 月、雑誌『フォトタイムス』第7巻第4号に「寫眞工藝欄」が新設された。同雑誌の編集主幹であった木村専一は寫眞工藝欄の新設について「更に擴大されたる寫眞の分野を覗く事が出来るであらうことを、吾々は信ずると同時に、あまりにも顧みられなかつた寫眞工藝の天地に一脈の溌溂さを添加し、進んで寫眞工藝家の進出と輩出とに何等かの刺戟とならんことを希ふものである」と述べている。
 木村の意味するところの「寫眞工藝」という語が使われ出したのは、「日本寫眞美術展覧会」においてである。日本寫眞美術展覧会は、1926 年に発足した公募制の展覧会であった。第1回の日本寫眞美術展覧会では、「第一部藝術寫眞」と「第二部寫眞工藝」に部門分けされ、1926 年1月3日付の『大阪毎日新聞』の開催告知広告では、第二部の欄に「学術、記録、其他一般、特殊写真」と記載されている。このことからも、第二部寫眞工藝が、実用的な写真や、芸術写真には数え入れることのできない種々の写真を射程に入れていたことがうかがえる。
 第二部寫眞工藝の設立を任されたのは、鈴木陽という人物である。鈴木陽は、陸軍技術本部技師であり、日本写真学会の前身である東京写真学会の創設メンバーでもあった。『フォトタイムス』に新設された「寫眞工藝欄」の第一回目には、この鈴木の書いた「寫眞工藝の發展の道」という記事が掲載されている。同記事で鈴木は、写真における「複製」の機能を評価し、一枚の美術的油絵よりも数千枚の印刷の方が社会的価値があるとさえ述べている。
 鈴木はポスター印刷や映画、器物への写真転写、天然色写真を含めた広い範囲を寫眞工藝とし、この「寫眞工藝欄」の設立意図について、「藝術論を振り翳す前に技術的に研究し、其の特別の技巧を先づ獲得せねばならぬ」と述べ、続けて「吾人は先づプロセスの研究に入らねばならぬ、それには本欄に於てプロセスの概念を吹き込んで貰ひたい、而して其の概念から讀者はプロセスの真髄を掴んで寫眞工藝品をでっち上げて貰ひたい」とし、「プロセス」の研究を重要視した。鈴木が用いた「プロセス」という語は、写真製版術自体を意味すると共に、技術的な方法や手順、歴史的な過程をも意味するものであったと考えられる。
 1926 年から30 年まで計5回開催された日本寫眞美術展覧会では、淵上白陽が編纂した『日本写真美術年鑑第一年版』と、フォトタイム社から出版された『日本写真美術年鑑昭和三年度』、『日本写真美術年鑑昭和四年度』、『日本写真美術年鑑昭和五年度』の計4冊が年鑑として刊行され、公募展覧会の概要や受賞作品、審査員の評論が掲載されている。
 本発表では、この4冊の年鑑から、日本寫眞美術展覧会における第二部寫眞工藝の動向を分析するとともに、雑誌『フォトタイムス』の「寫眞工藝欄」を調査対象とし、鈴木の述べる「プロセス」の研究がいかなるものであったのかを考察する。

発表2
「肖像権、プライバシーと写真―撮られることの恐怖について」
高橋倫夫(早稲田大学文学研究科修士課程)

 フレーザーの『金枝篇』はじめ、19世紀後半から20世紀初めの民族誌には、写真に撮られると「魂を奪われる」という先住民の話が数多く登場する。わが国でも写真到来以後、撮影により「寿命が縮む」と言われることがあり、現代人にも無断の撮影を嫌悪する心理がある。本発表では、このように様々な形でみられる写真にまつわる恐怖について、19世紀末以降の欧米における肖像権やプライバシーをめぐる議論を通じて考察する。
 ダゲレオタイプ発表直後には、監視や覗き見につながるとして早くも写真に懸念を表明する者があった。日本でも幕末や明治初年には、肖像写真は当人の身代わりとみなされることがあった。そして19世紀末の欧米では、写真の普及に伴う新たな問題が認識されつつあった。
 当時は露光時間の短縮、カメラの軽量化などの技術革新により、スナップ写真や盗み撮り・隠し撮りなどが行われ、肖像写真を無断で使用する事例が相次いでいた。スキャンダラスな話題をセンセーショナルに取り上げる大衆的な新聞の普及もそうした傾向に拍車をかけた。そうした状況に対して欧米諸国では、自己の像を法的に保護すること、つまり今日で言う肖像権が主張され始めたが、本発表ではそうした肖像権をめぐる初期の動向について検討していく。
 肖像権に相当するものは、アメリカではプライバシー権の問題として扱われ、1890 年にその嚆矢となる論文が発表され、ドイツでも1895 年にはじめて「自己の像に対する権利」が主張された。
 こうしたなか米ニューヨーク州で、広告での肖像写真の無断使用事件がおき、これをきっかけとして1903年同州で法律が制定された。ドイツでは19世紀末から論争があり、1907年制定の法律で、本人の同意を得た場合に「頒布または公に展覧」できるとされた。こうして米独で立法措置がとられるが、どちらも公開や使用には同意が必要とするものの、撮影自体には制限を設けなかった点で、今日一般に考えられている肖像権とは異なる面がある。
 当時は撮影そのものはさほど深刻な問題と考えられず、好奇心と積極性をもって撮影に応じた例も多いのに対し、むしろ望まない公開や流布に対する恐怖の方が顕在化していたものと思われる。一方で現代では、撮影の際に本人の承諾を得るのが当然であると考えられ、撮影自体も本人の許可を求める傾向がある。それは技術的進歩に伴い、撮影が簡便に、複製や頒布が容易になるにつれて、撮影と公開は直結するものと認識されたためではないだろうか。その結果時代が下がるにつれて、撮影を以前にもまして警戒するようになっていったと思われる。本発表では、公開や流通により引き起こされる写真への恐怖について検討するにあたり、19世紀末から20世紀初頭にかけて、どのように“肖像権”が提起され論じられていたかを見ていきたい。

座談会
「展覧会『鷹野隆大 毎日写真1999-2021』(国立国際美術館)について」
ゲスト:鷹野隆大(写真家)
司会:中村史子(愛知県美術館)

 2021 年、大阪の国立国際美術館にて写真家、鷹野隆大の大規模な個展「毎日写真 1999-2021」が開催された。鷹野は、脱衣の男性を写した「ヨコたわるラフ」シリーズで注目を集め、ジェンダーを撹乱する写真集『IN MY ROOM』で木村伊兵衛賞を受賞した。本展はそれら代表作も展示されるが、彼が1999 年から撮影し続けている「毎日写真」に主に焦点が当てられている。「毎日写真」は文字通り、彼が日々の生活を撮影したスナップ写真のシリーズである。本展では、セクシャルな要素を備えたポートレートが、これら淡々とした「毎日写真」と併置され、また別の様相を見せている。また、「毎日写真」シリーズから派生する形で、「カスババ」シリーズなど別のシリーズが生み出されている点も、特記に値する。
 さて、日課のように続けられてきた「毎日写真」であるが、2011年の東日本大震災頃を契機に撮影対象が変化し、地面に落ちる影を撮った写真が増え始める。これら震災後に撮影された影について、新城郁夫は、社会の歪みや崩壊から逃走する姿を重ね合わせて論じている。実際、人と影の主従が逆転したイメージ(画面の上半分に影、下半分に人、など)は、見るものの不安を強く掻き立てる。
 ところが、影について探求するうちに、彼の作品はさらに別の展開を見せる。例えば、「Green Room Project」は、鑑賞者の影を一定時間、蓄光シートに残す試みであり、鑑賞者の能動的な参加が必要となる。その仮設的でパフォーマティヴな傾向は、影の厳密な採取、定着とは大きく性質が異なっている。また、写真の原理にまつわる歴史と言説の上にありながら、その重さをあまり感じさせない点も特徴的だ。
 座談会では、鷹野隆大本人を特別ゲストとして招き、展覧会で明らかになった表現の変遷や一貫して看取されるものについて、ともに検討する予定である。また、彼の活動を考察する中で、日本の写真表現の系譜をいかに引き継ぎ更新しうるか、その手がかりも、浮かび上がるのではないだろうか。本座談会が、研究会の参加者も含めた活発なディスカッションの場となればと考えている。
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以上
日本映像学会写真研究会
代表 倉石 信乃
明治大学理工学部
〒214-8571 川崎市多摩区東三田1-1-1

映像アーカイブ研究会第1回研究会のお知らせ【11月6日】

映像アーカイブ研究会第1回研究会のお知らせ

基調講演:日本におけるフィルムアーカイブ活動史
ゲスト講師:石原香絵(NPO法人映画保存協会)
日時:2021年11月6日[土]13:00-15:00
会場:オンライン(Zoom)+明治学院大学白金キャンパス(東京都港区白金台1丁目2-3)本館2階 2202教室

予約フォーム:https://forms.gle/TgZKHtcDPForyfWy6
広報資料:https://www.dropbox.com/t/UCJU4Hr2V5HAStLD(PDF版)
     https://www.dropbox.com/t/GkVF5fM2KrmDe9tk(PNG版)

中部支部2021年度第1回研究会【10月17日】

2021年度 日本映像学会中部支部 第1回研究会

日時:2021年10月17日(日)13時30分より
会場:名古屋芸術大学東キャンパス1号館7階アセンブリーホール
(〒481-8503 愛知県北名古屋市熊之庄古井281番)
中部支部会員のみオンラインによる視聴可能(予定)

◎研究会スケジュール(予定)
13:15 –  第1回研究会 受付開始
13:30 –  開会あいさつ
13:35 – 14:35 研究発表(2件)
休憩
14:50 – 15:50 招待講演(1件)
15:50 – 16:20 ディスカッション
16:20 − 16:50 施設見学
16:50 –  閉会あいさつ

17:00 –  支部総会
(研究会終了後に開催)

◎招待講演
アナザーサイト──ギャラリーと生活空間をつなぐディジタル・アーカイヴ
茂登山 清文氏、遠藤 麻里氏

要旨:
私たちは,さまざまなモノに絶え間なく眼をむけ,情報を得て,日々を過ごしている。だが,見るという当たり前の行為について,どれほど意識し,理解しているだろうか?発表者らが取り組んできたヴィジュアルリテラシーは,見る対象はもとより,見る行為そのものに関する学際的な研究領域である。今回の企画「アナザー・サイト」では,現在,急速に一般化しつつあるイメージのオンライン観賞の課題のひとつである,見ることの「希薄化」をテーマとしている。見ることに特化したギャラリー空間と,日常的な生活空間とをつなぐことで,目の前に実在する物と,彼方にあるものを「見る」想像力について考えてみる。プログラムの組立てにあたっては,ACRL(大学・研究図書館学会)による「効果的に見つけ、解釈し、評価し、使い、つくりだすこと」を参照するとともに,ディジタル・アーカイヴの表現手法として,インフォメーショングラフィクスを試みた。

茂登山 清文(もとやま きよふみ)氏 プロフィール
名古屋芸術大学芸術学部特任教授 専門は,情報デザイン・視覚文化・ヴィジュアルリテラシー。建築論を学んだ後,主にアートとデザインをフィールドに活動。現在は,見ることについて実践的に思考するとともに,「芸術としての教養」教育に取り組んでいる。共編著に『情報デザイン』放送大学教育振興会,『ヴィジュアルリテラシー スタディーズ』中部日本教育文化会ほか。

遠藤麻里(えんどう まり)氏 プロフィール
金城学院大学国際情報学部講師 専門は情報デザイン・電子社会デザイン。社会の中の情報をICT技術を用いて、いかに見せ、応用するかについて研究を行う。「都市風景写真の活用とヴィジュアルリテラシーへの応用のためのアプリケーション開発」など。

◎交流空間「TERA」の見学(谷野大輔氏)
名古屋芸術大学東キャンパスに,ギャラリー「Art & Design Center East」,カフェ「Akkord」などからなる交流空間「TERA」が,2020年11月にオープンした。プロジェクトのコンセプトと経緯,学生参加などについて説明した後,施設を訪れ使われている椅子のコレクション,「アナザー・サイト」の展示を見学する。

◎研究発表(2件)
エストニア芸術アカデミーのアニメーション演習を反映させた「構成的思考」による物語の作り方
有持 旭 会員(近畿大学 准教授)

要旨:
プリート・パルンは母国エストニアだけでなく世界的に著名なアニメーション作家であり、多くの国の大学で教鞭を執ってきた。中でもエストニア芸術アカデミー(EKA)作品は国際映画祭で高評価を維持している。これまで日本国内でもエストニア作品の批評や論考を読む機会は幾度かあった。私の博士論文や紀要論文もそれらに含まれる。作品や作家を通してエストニア・アニメーションが紹介され論じられてきたわけである。
本発表では、作家であり大学教授であるパルンがどのようにアニメーション制作を指導してきたのか、そのノウハウを物語の作り方に注視し解説する。そしてその例としてパルン作品やEKA作品を見ていく。想像力とは何か。調和と緊張。思考を構成的にする。バラストを取り除く。こうした制作プロセスは風刺画家だったパルンのキャリアだけでなく、モスクワ・タルトゥ学派から継承されているエストニアの記号論とも関係してくるように考えられる。

「『ストリーミング・ヘリテージ|台地と海のあいだ』の報告
ー1989年以降の名古屋におけるメディア・アート / メディア・デザインの水脈とともに
吉川 遼 氏(名古屋文理大学 助教)
秋庭史典 氏(名古屋大学 教授)
伏木 啓 会員(名古屋学芸大学 教授)

要旨:
『ストリーミング・ヘリテージ|台地と海のあいだ』は、2020年度に企画されたアートプロジェクトである。3年度にわたって実施予定であり、1回目は2021年3月に行われ、2回目は2021年11月に行われる。「メディア=コンシャス/メディアへの意識」をテーマに、名古屋城と港をつなぐ堀川に隣接する産業・歴史遺産を利用して、国内外のアーティストによるインスタレーションやパフォーマンスを展示・上演し、研究者やアーティストを招いてのトークイベントも行われる。
本発表では、3月に実施したプロジェクトの報告とともに、世界デザイン博(1989年)や名古屋国際ビエンナーレ/ ARTEC(1989-97)より現在まで脈々とつながる名古屋におけるメディア・アート / メディア・デザインの水脈を視覚化する計画について説明する。

◎補足情報
日本映像学会中部支部 幹事会
※幹事メンバーのみ
12:45-13:15

会場へのアクセス(名古屋芸術大学東キャンパス)
http://www.nua.ac.jp/outline/access/index.html
*名鉄犬山線「徳重・名古屋芸大」駅より東へ徒歩10分
*車で来場する場合は会場1号館北側の来客駐車場に停めてください
(許可申請・記名の必要はありません)
東キャンパスマップ
https://www.nua.ac.jp/campuslife/campus/east/