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映像テクスト分析研究会 2018年度第2回(通算第19回)研究発表会【3月2日】

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日本映像学会 映像テクスト分析研究会
2018年度第2回(通算第19回)研究発表会 開催のお知らせ
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日本映像学会会員各位

映像テクスト分析研究会の研究発表会を下記のとおり開催します。
みなさまのご来場をお待ちしています。

日本映像学会映像テクスト分析研究会
代表 藤井仁子

■日時===========================
2019年3月2日(土曜日)15時30分開始~18時終了予定
発表後に休憩をはさんで質疑応答あり

■会場===========================
早稲田大学 戸山キャンパス 36号館2階演劇映像実習室(283教室/定員60人)
〒162-8644 東京都新宿区戸山1-24-1
最寄り駅:地下鉄東京メトロ東西線「早稲田駅」、副都心線「西早稲田駅」

交通アクセス

戸山キャンパス

キャンパス案内図
https://waseda.app.box.com/s/rjr9co01i8y1kuzr0wqnuyjbdx1n3pww


■発表者==========================
木原圭翔(東京大学大学院情報学環 特任研究員)

■表題・概要===============================
『或る夜の出来事』における「身体=システム」の策略

名匠フランク・キャプラの『或る夜の出来事』(It Happened One Night, 1934)は、1930年代の古典的ハリウッド映画を考察するうえで今なお重要な指標となる作品である。とりわけ、「エリコの壁(the Walls of Jericho)」と呼ばれる毛布によって男女が隔てられたモーテルでの一夜は、本作の中でも最もよく知られたシーンの一つだろう。そのシーンの序盤において、クラーク・ゲーブル(ピーター)が服を脱ぎ始める身ぶりは、彼の絶大な人気を示すある有名な逸話を生み出すことになった。すなわち、このシーンの影響で、多くの男性が素肌の上に直接ワイシャツを着るようになったために、下着シャツ(undershirt)の売り上げが急降下したというのである。以後、多くの文献に幾度となく引用されることになるこの逸話の真相はいかにも疑わしい。一方で、映画作品が与えたこうした(マイナスの)経済効果の実態以上に重要なのは、まさにその当該場面において、現代の観客からすると、ミスとも思えるような編集がなされているという端的な事実である。しかし、ここで見られる奇妙なつなぎは、ピーターが試みている独自の戦略に観客の視点を誘導したいという、作り手側の意図が明確に刻まれている。さらに、ここでのピーターの身ぶりは、ヒッチハイクのためにエリー(クローデット・コルベール)がスカートの裾をめくり上げて脚を見せるという、もう一つの有名なシーンとも呼応している。すなわち、本作の主人公たちは、独自の方法で自らの「身体(system)」を巧みに駆使することで、それぞれが重大な目的を達成させているのである。

本発表では、こうした彼らの「身体=システム」が本作の中でいかに機能しているのかをより詳細に考察することで、「スクリューボール・コメディ」の嚆矢という評価に対する種々の批判をより具体的に補強していきたい。

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お問合せ先:
日本映像学会東部支部 映像テクスト分析研究会
代表 藤井仁子
〒162-8644 新宿区戸山1-24-1
早稲田大学文学学術院
e-mail: jinfujii(a)waseda.jp

第21回ヴィデオアート研究会【2月23日】開催のお知らせ

第21回ヴィデオアート研究会開催のお知らせです。


日時:2019年2月23日(土)14:00-16:00
会場:渋谷区 勤労福祉会館 洋室4(席数30)
〒150-0041 東京都渋谷区神南1丁目19−8
(渋谷公園通り パルコパート1 斜め向かい/公園通りギャラリーのある建物2F)
アクセスはこちら
https://goo.gl/maps/oMroKUbW59r

内容:『リフレクション ヴィデオ・アートの実践的美学』を読む[vol.2]

本研究会は、ヴィデオアートのアカデミックな研究と、制作や展示現場のフィールドワークを交互に行なう方針で発足されました。今回は2018年12月に水声社から刊行された『リフレクション 
ヴィデオ・アートの実践的美学』の精読を、著者の河合政之氏の解説とともに行う研究会を開催致します。なお前回[vol.1]は第II部第4章辺りまで、テキストの位置づけと、用語や概念の解説を交えて解説いただきました。今回はアーティスト別、ヴィデオアートの作品を個別に見ながら、書籍の以降の章を追う予定です。

*参加される方は、事前に上記参考書籍の前半部分を読んでいただくのが望ましいのですが、当日資料も配布する予定です。

予定出席者
パネリスト: 河合政之(東京造形大学非常勤講師/学会員)

進行:瀧健太郎(ビデオアートセンター東京/武蔵野美術大学非常勤講師/学会員)

お問合せ:
日本映像学会ヴィデオアート研究会
代表 瀧健太郎

映像心理学研究会・アニメーション研究会 日本アニメーション学会 心理研究部会 合同研究発表会のお知らせ【3月9日】

日本映像学会 映像心理学研究会・アニメーション研究会
日本アニメーション学会 心理研究部会
合同研究発表会のお知らせ

日本映像学会映像心理学研究会・アニメーション研究会と日本アニメーション学会 心理研究部会の合同究発表会を下記の要領で開催いたします。今回は、アニメーションの表現や演出に関するご著書を執筆されたお二方に発表をお願いいたしました。ご興味・ご関心がございましたら、是非ご参加くださいますようご案内申し上げます。

日本映像学会 映像心理学研究会・アニメーション研究会 代表:横田正夫
日本アニメーション学会 心理研究部会 代表:野村康治

■開催概要
日時:2019年3月9日
会場:日本大学文理学部百周年記念館会議室2
時間:15:00~17:50
参加費:無料
参加資格:どなたでもご参加いただけます。事前に参加申込み(下記)をしていただけましたら幸いです。

■プログラム
第1部 日本映像学会 映像心理学研究会・日本アニメーション学会 心理研究部会
発表 15:00~16:00  質疑応答 16:00~16:20
「今日を生き延びるためにアニメーションが教えてくれること」におけるいくつかのトピックについて
ゲスト/佐分利敏晴(佐分利奇士乃)(生態心理学・アニメーション研究者)

佐分利敏晴初の単著となった「今日を生き延びるためにアニメーションが教えてくれること(学芸みらい社、2018年12月発行)」の中から、特に重要と言える箇所について解説する。序章で扱った「アフォーダンスとアニメーション」について、および巻末の片渕須直監督との対談「作品の舞台に観る者を招き入れる」で話題に上がったことを取り上げる。
アフォーダンスとは、一見特別なことのように思われることもあるが、実際にはわたしたち動物が生活している「環境」=「身のまわり」に、実に身近にある、行為に利用できる情報の資源である。それは様々なアニメーションにも作り込まれ埋め込まれており、それが登場人物たちの行為に利用されている。
巻末の片渕須直監督との対談では、様々なトピックが扱われた。その中から「風の表現とレイノルズ数」「『かぐや姫の物語』の一場面、かぐやの疾走の描写」「登場人物同士の協調を描くことと実在感」「ストーリーを追わず、ディテールに埋め込まれた物語を読むこと」などについて特に取り上げ、紹介する。

第2部 日本映像学会 アニメーション研究会
発表 16:30~17:30  質疑応答 17:30~17:50
アニメーション業界の制作現場における演出の技術と方法
渡部英雄(湘南工科大学、株式会社パンチ(顧問))

2018年11月25日発刊、『アニメ研究入門(応用編)アニメを究める11のコツ』(現代書館出版)で私が執筆した「演出論-アニメーション業界の制作現場における演出技術と方法」をテーマに本研究会で発表いたします。
アニメーション業界の制作現場では演出がどのような技術や方法を用いてアニメ制作をしているのか。特に、アニメーション制作の映像設計(絵コンテ)に関する演出技術を中心に取り上げていきたいと思います。
その内容は、
・アニメ業界で演出家になるにはどのように学べばよいのか。演出家たちは、技術をどのように習得しているのか。
・過去のアナログ時代と現在のデジタル時代の演出技術と方法の違いについて、
・実写映画の演出とアニメの演出の相違点と共通点について、
・アニメ演出の仕事とは、
・アニメ業界の制作現場の流れ。プリプロダクション、プロダクション、ポストプロダクションで演出はどのような仕事をしているのか、
・演出はどこまでの範囲で権限があるか、
・映像設計としての絵コンテ作成についての基礎知識、マッチカットとカットアウェイそしてイマジナリィライン(想定線)越え方など映画の文法ともいえる観客の混乱を防ぐ方法。
・アニメ演出の表現としての撮影技術について、
など私の経験に基づいて述べていきたい。

■参加申込
 資料準備のため3月7日(木)までにお申込みいただけましたら幸いです。お申込みがなくてもご参加いただけますが、配布資料をご用意できない場合もございます。予めご了承ください。また研究会開催後に懇親会を予定しております。懇親会につきましては当日アナウンスいたします。お時間がございましたら、是非懇親会にもご参加ください。

■参加申込み・問合せ先
 日本大学文理学部心理学研究室
 (日本映像学会映像心理学研究会・アニメーション研究会代表 横田正夫)
  E-mail: myokota@chs.nihon-u.ac.jp
  Tel: 03-5317-9720 Fax: 03-5317-9427

【重要】学会メールアドレス等の変更についてのお知らせ(1/14)

日本映像学会会員各位

本日発行の会報第184号(PDF版)に記載いたしましたとおり、以下3点の重要なお知らせを改めてお伝えいたします。

1.学会事務局メールアドレス変更
これまで、本学会事務局のメールアドレスは、日本大学藝術学のご好意で、<jasias@nihon-u.ac.jp>を使わせていただいておりました。しかしながら、本学会のインターネット環境の整備に伴い、本日、2019年1月15日より、次のように新しいメールアドレスへと変更します。

日本映像学会事務局<office@jasias.jp>

 移行措置としまして、今暫くは旧メールアドレスも有効にしてありますが、今後は新メールアドレスをご利用いただくようお願いいたします。

2.『映像学』投稿規定の改訂
 機関誌編集委員会からのお知らせにもありますように、『映像学』の投稿要領が変更されました。従来の紙媒体での受付を取り止め、電子データでの投稿となりました。『映像学』の投稿用メールアドレスは、次のようになります。

『映像学』投稿用メールアドレス<eizogaku@jasias.jp>

3.第45回大会(山形大学)オンライン受付へ変更
山形大学で開催されます第45回大会においても、従来のハガキ及びFAXでの参加申込みを取り止め、オンラインでの受付となります。詳細につきましては、大会実行委員会のウェッブ・サイトをご覧ください。
1月12日より、発表・参加申し込みを受付開始しました。

日本映像学会第45回大会 https://jasias.jp/eizo2019

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日本映像学会総務委員会
〒176-8525
東京都練馬区旭丘2-42-1
日本大学芸術学部内
e-mail:office@jasias.jp
旧e-mail: jasias@nihon-u.ac.jp

会報第184号を発行しました。

会報第184号(2019年1月15日)を発行しました。
以下のPDFよりお読みください。

JASIAS_NewsLetter184

PDFがウィンドウに表示されない(画面が真っ白や真っ黒等)ときは、
ウィンドウ右下端のサイズ調節をマウスで動かして調節してみてください。
ウィンドウの幅のサイズが会報の幅のサイズより大きいときなどに、
PDF表示画面が出ずに真っ白や真っ黒の画面になることがあります。
また、文字が一部しか表示されないときは、URL表示のそばにあるリロードボタンをクリックしてみてください。


会報への会員による投稿につきましては以下の投稿規定をお読みのうえ、末尾の連絡フォームによりご連絡ください。のちほど担当よりご連絡申し上げます。

日本映像学会 会報 投稿規定(2017年10月 理事会決定)

1.投稿資格

(1) 投稿の時点で正会員の資格を有していること。

(2) 投稿者本人が執筆者であること。共著の場合は、投稿者が筆頭執筆者であり、必ず他の共著者全員の承認を得た上で投稿しなければならない。

2.投稿内容

(1) 映像に関する研究を推進し、広く映像文化の向上に寄与するもの(「日本映像学会会則」第2章第4条にもとづく)。

(2) 未発表のもの。二重投稿は認めない。投稿者自身の既発表論文や口頭発表と関連がある場合には、そのことを必ず明記すること。

(3) 投稿者は、自らが著作権を有しない著作物や図版などを引用するに際しては、著作権法(第32 条第1項)が定める引用の条件に則って行なうものとし、必要な場合はその著作権所有者の許諾を得なければならない。

3.字数

(1) 字数は自由(1ページは2,400字程度・複数ページも可)

(2) 図版を添付する場合には、図版の大きさを文字数に換算し、全体の文字数に含める。

4.体裁

(1) 完成原稿であること。

(2) メール本文に、題名、執筆者名、住所、電話番号、Eメールアドレス、所属等を記すこと。なお、総務委員会が原稿を確認し、事務局からEメールで「原稿受付」の通知をする。

5.提出方法

(1) 電子データをメール添付で事務局に送信すること。

(2) メール本文にOSの種類とソフト名(Wordもしくはテキスト)を明記すること。

6.投稿先

E-mail: jasias@nihon-u.ac.jp

officejasias.jp

7.校正

著者校正は初校のみとし、以後は総務委員会が行なう。

8.著作権

会報に発表された研究報告等の著作権は日本映像学会に帰属する。他の著作に転載する場合には、事務的な手続きのため、事前に文書等で学会に連絡し、転載する際に、会報への掲載に関する基本的な書誌情報を明記すること。

9.締切

投稿は随時受け付ける。

10.その他

(1) 掲載の可否については、総務委員会が決定する(一部改稿を求めることもある)。また、「採否の通知」は事務局からEメールで送信する。

(2) 投稿原稿掲載部分はPDF電子版会報の内としてホームページ上で一般公開

以上

第45回大会 発表・参加申し込み受付開始

日本映像学会会員各位

本日より、第45回大会の発表・参加申し込みを受け付けを開始いたします。
皆様のご参加を心よりお待ちしています。

大会発表申込(申込期限:2/15[金])
https://jasias.jp/eizo2019/presentation

大会参加申込(申込期限:4/26[金])
https://jasias.jp/eizo2019/apply



日本映像学会第45回大会実行委員会
https://jasias.jp/eizo2019 45回大会特設ページ
〒990-6560
山形市小白川1-4-12
山形大学人文社会科学部附属映像文化研究所内

ショートフィルム研究会第25回活動【2/2】のお知らせ

テレビドキュメンタリーの詩学 ―NHKドキュメンタリーの制作技法― 

膨大な数のテレビドキュメンタリーを制作し続けているNHK。遡ると1950年代後半から、様々な社会問題をテレビ独自の視点で映像に写し取ってきました。現在、それらが見つめるテーマも社会全体から個人的なものまで幅広くなり、番組のまとめ方、視聴者への訴え方も多様化しています。過去から現在までの作品に研究者の分析を通して触れながら、NHKで制作されてきたドキュメンタリーの特色を、表現と技術という観点を中心に考えてみたいと思います。

登壇者
宮田章(ゲスト/NHK放送文化研究所上級研究員)
丸山友美(法政大学社会学部/兼任講師)
中根若恵(名古屋大学大学院人文学研究科博士課程後期課程)

●日時 2/2(土)10:30-(12:30-14:00昼休憩)-18:00(終了予定)
●料金 無料 *要予約
●予約・詳細 
http://theatercafe.blog.fc2.com/blog-entry-897.html?sp
●定員 20名
●会場 シアターカフェ(名古屋市中区大須2-32-24 マエノビル2階、052-228-7145、main@theatercafe.jp)
●司会/企画 洞ヶ瀬真人(中部大学ほか非常勤講師)
●主催 日本映像学会ショートフィルム研究会

第20回ヴィデオアート研究会【1月12日】開催のお知らせ

第20回ヴィデオアート研究会(1月12日)開催のお知らせ

日時:2019年1月12日(土)17:00-19:00
会場:東京大学 駒場キャンパス18号館2階 院生研究作業室
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_17_j.html
駒場 キャンパス までのアクセスはこちら
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map02_02_j.html

内容:『リフレクション ヴィデオ・アートの実践的美学』を読む[vol.1]

本研究会は、ヴィデオアートのアカデミックな研究と、制作や展示現場のフィールドワークを交互に行なう方針で発足されました。今回は2018年12月に水声社から刊行された『リフレクション 
ヴィデオ・アートの実践的美学』の精読を、著者の河合政之氏の解説とともに行う研究会を開催致します。なお全2回を予定しており、次回[vol.2]を2月23日(土14時-16時、渋谷)開催となります。併せてご参加ください。

*参加される方は、事前に上記参考書籍の前半部分を読んでいただくのが望ましいのですが、当日資料も配布する予定です。

予定出席者
パネリスト: 河合政之(東京造形大学非常勤講師/学会員)

進行:瀧健太郎(ビデオアートセンター東京/武蔵野美術大学非常勤講師/学会員)

お問合せ:
日本映像学会ヴィデオアート研究会
代表 瀧健太郎

第45回大会ウェブサイト開設のお知らせ(12月19日)

日本映像学会会員各位

霜寒のみぎり、いかかがお過ごしでしょうか。
第45回大会のウェブサイトを開設いたしました。
今後、大会に関する情報を順次アップロードしていきます。
本大会より、研究発表、作品発表の申込み、および大会参加申込みをオンラインによって行います。
従来のはがき、FAXでの申込みはしませんのでご了承ください。
大会実行委員会一同、来年6月、さくらんぼの実り始めた山形で、心よりお待ちしております。

日本映像学会第45回大会実行委員会
https://jasias.jp/eizo2019
〒990-6560
山形市小白川1-4-12
山形大学人文社会科学部附属映像文化研究所内

中部支部2018年度第2回研究会【12月22日】

2018年度 日本映像学会 中部支部 | 第2回研究会 開催のお知らせ
http://jasias-chubu.org/wp/?m=201812

日時:2018年12月22日(土)13時~16時半
会場:名古屋芸術大学東キャンパス1号館7階アセンブリーホール
(〒481-8503 愛知県北名古屋市熊之庄古井281番)
※アクセスの詳細は、文末に記載しています。

 

「視覚メディアのレイヤー ─イメージ,身体,記録」

現代,視覚イメージが私たちのまわりに溢れている。いや,そう言うことすら忘れてしまうほどに,生活に浸透している。イメージをめぐる,見いだし,撮影し,編集し,そして記録するという作業は,すでに独立した行為のリニアな連続とは想定できない。カメラアプリがファインダースクリーンにあらかじめ予測される像を結ぶように,イメージは,時と場所を横断して機能する幾重ものメディアのなかで,生成する。本研究会では,そうした事態を,イメージに寄り添う身体ないしは行為から,あるいはメディアと記録との関係において,読み解き,提示することを試みる。2組3人のゲストを迎える。酒井健宏氏は,映像作家として映画制作する一方,名古屋芸術大学ほかで映像関係の授業を担当している。近刊の『身体化するメディア/メディア化する身体』(西山哲郎・谷本奈穂編著)では,「多層化する視覚メディアと身体」を著した。真下武久氏と竹内創氏は,それぞれ大学で研究・教育にたずさわるとともに,個人で,またユニットの一員としてもアーティスト活動を展開している。近年では,ともに「物質性ー非物質性 デザイン&イノベーション」展で発表した。

  

◎スケジュール
-13:00-13:10 開催校挨拶
-13:10-13:40 研究発表:松浦拓也会員
-13:50-14:20 作品発表:河村陽介氏
-14:20-14:40 休憩(*真下武久氏・竹内創氏による作品「Immaterial Archive」鑑賞)
-14:40-15:30 招待講演:酒井健宏氏
-15:40-16:30 招待講演(展示含む):真下武久氏+竹内創氏
-17:00-     懇親会(会費3000円,銘軒=研究会会場より徒歩5分)

  

◎招待講演(2件)
「つながる/かさなる視覚メディアと身体」
酒井健宏氏

要旨:
このあいだテレビでやったアニメの映画をビデオに録ったからパソコンで見る。ありふれた発言のように聞こえるが、 本来これは実に複雑なことだ。視覚メディアは多様化(multi-)かつ多層化(layered)している。今日このような状況をもたらしているもっとも大きな要因が、デジタル技術に基づく視覚メディアの普及によるものであることに議論の余地はないだろう。今や私たちはパソコンやスマホに表示される静止画像を「写真」と言い、デジタルデータで上映される動画像を「映画」と呼んでいる。この複雑さと直面しながら視覚メディアを研究対象とするには一体どのような視点が有効であろうか。本講演では、視覚メディアの歴史において生じた複数の「写真から映画へ」に注目することで、その視点の一つを提供したい。とりわけ視覚イメージの加工(いわゆる編集や合成)の様態とその歴史的変容に着目し、それぞれの「写真から映画へ」が(イメージとして記録された)身体をどのように加工および表象してきたのかを例に挙げながら示したい。

酒井健宏(さかい たけひろ)氏 プロフィール
1977年生まれ。映像作家・映画研究。
名古屋大学大学院情報科学研究科博士後期課程中退。98年に大学の映画サークルに所属したことがきっかけで制作を開始。07年『キッス占い』がTAMA NEW WAVEコンペティション部門入選。11年『CSL/タカボンとミミミ』がうえだ城下町映画祭自主制作映画コンテスト審査員賞受賞(大林千茱萸賞)。14年『ハチミツ』が第1回LOAD SHOWコンペティション入選。16年、名古屋市港区にて地域映画『右にミナト、左にヘイワ。』を制作・監督。近著に『身体化するメディア/メディア化する身体』(分担執筆)。

  

「物質性―非物質性 デザイン&イノベーション」展 あるアーカイヴの試み
真下武久氏 + 竹内創氏(合同発表)

要旨:
「物質性―非物質性 デザイン&イノベーション」展(京都dddギャラリー/2016)は、1985年にパリのポンピドゥー・センターで開催された「非物質的なもの(Les Immatériaux)」展(ジャン=フランソワ・リオタール監修)へのオマージュである。本研究は、物質性をキーワードに展覧会アーカイヴの「ある試み」を行う。我々は非物質的な環境に取り囲まれて生活している。そうした中、今改めて「物質性」が問われることになってきた。“印刷物に収まりきらない作品の記録と再表現は可能であるか?”京都展に関わったことで展覧会のアーカイヴというものを考えるきっかけになった。「非物質的なもの」展(1985)のカタログは印刷物ではあるが、ページが綴じられていない。カード式と呼ばれるものになっており、作品同士の関連性を読者が自由に見つけられるよう意図的に作られている。このカタログをモデルにノンリニアに体験できるアーカイヴができないかと考えた。参加した作家のイニシアルを使ってポスターをデザインすることから始め、このポスターをインターフェイスとして展覧会の風景、作品、情報を検索する装置として作り上げている。今回のアーカイヴは、読者がポスターの前でタブレット端末(iPad)を操作し、AR(拡張現実)技術によって展示作品を非物質的に浮かび上がらせることになる。

コンセプト: 竹内 創
デザイン: ニコール・シュミット
サウンドデザイン: 外山 央
プログラミング: 真下 武久

真下武久(ましも たけひさ)氏 プロフィール
1979年生まれ。成安造形大学准教授。
IAMAS(情報科学芸術大学院大学)修了。日常の物理的な制約をインタラクティブアートを通して解決し、新しい体験を作り出す。蒸気に映像を投影したインタラクティヴな作品「Moony」(2004)は、アルスエレクトロニカにて “the next idea”部門で受賞。主な展覧会に『Media City Seoul」(2005)、「Gwangju Biennale」(2006) 、「Shenzhen Ink Painting Biennale 」(2008)、「Sundance Film Festival」(2011)など。

竹内創(たけうち はじめ)氏 プロフィール
1968年生まれ。ニューメディア研究/アーティスト。名古屋芸術大学准教授。パリ第8大学 DEA 第三期高等教育課程、フランス国立高等装飾美術学校 Post-Diplôme 修了。インタラクティヴ美学の研究とメディア横断的な映像を制作している。主な制作プロジェクトに,「リヨンビエンナーレ1995」、CD-ROM書籍「ルソーの時」(2000)、「物質性ー非物質性 デザイン&イノベーション」(2016)。展覧会キュレーションとして「JOUABLE Genève-KyotoーParis 」(2004-2006) 。

 

◎研究・作品発表(2件)

作品「音響写真」─写真表現による音の視覚化について─
松浦拓也会員(名古屋学芸大学 メディア造形学部 映像メディア学科)

要旨:
美術作品においてのメディア領域間の在り方に疑問をもったことが私の作品制作背eorimasu ており、それは写真メディアも同様である。加工した写真はCGなのか。ディスプレイに出力したものや、プロジェクターで投影した写真は静止画の枠を超えた映像作品になってしまうのか。紙媒体に印刷したものだけが写真なのか。このように、写真は様々な領域を横断し得るメディアであるとも言えるのではないか。しかし、私はこうした現状に否定的ではない。様々なメディアが混在する世の中だからこそ新たな作品表現が生まれているのではないだろうか。私の作品制作でのベースとして、「写真メディアを介す」という方法論がある。2015年より継続して「音響写真」シリーズを制作、研究している。本作品で組み合わせ、制作している技法クラドニ図形(サイマティクス)および、フォトグラムについての先行作品やこれまでに制作したシリーズを踏まえ解説する。記録性特性のある写真を使って、目には見えない音の軌跡を提示する。また、昨年開催した個展「Sonic Photogram –音の定着-」について報告する。

  

「移動型ラボにおけるメディア表現」
河村陽介氏(MOBIUM/名古屋工業大学大学院工学研究科社会工学専攻博士後期課程)

要旨:
移動型ラボ(モバイルラボラトリー)は英国、米国、アフリカなどで運用されている特殊設備を備えた移動型の研究室の総称である。米国ではその用途のひとつとして設備や教員が不十分な遠方の学校に専門家とともに出向き、STEM或いはSTEAMなどの科学教育を普及するための活動が行われ、教育の地域格差を埋める方法として活用されている。
移動型ラボは環境調査を主とした科学教育用途のものと、FAB機器などの工房施設を備えた創作活動用途のものに大別される。本発表で紹介する移動型ラボ「MOBIUM」は位置情報や加速度、環境情報などを扱ったメディア表現に関する創作活動に特化しており、都市部、山間部問わずワークショップや展示活動を行なっている。2005年から実施している過去のプロジェクト事例やその制作プロセス、また現地の環境や住民との関わりなどについて解説し、創作活動、特にメディア表現における移動型ラボの有効性を示したい。

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◎会場へのアクセス
*名鉄犬山線「徳重・名古屋芸大」駅より東へ徒歩10分
*車で来場する場合は会場1号館北側の来客駐車場に停めてください
(許可申請・記名の必要はありません)
http://www.nua.ac.jp/outline/access/index.html
http://www2.nua.ac.jp/campusmap/shikatsu.html#facility01

以上

日本映像学会中部支部
http://jasias-chubu.org/wp/
〒503-0006
岐阜県大垣市加賀野4丁目1番地7
情報科学芸術大学院大学メディア表現研究科内